アルバイトから始めまる。とりかえばや物語のような話


今の恋人とは、塾講師アルバイトを介して出会いました。
私は地味めなバイク乗りの中堅講師A、相手はかわいらしい新米講師B。

私たちの馴れ初めは、Bの「飲み会幹事の相談」を受けたことに始まります。
なんでも、私以外の講師は忙しそうなベテランだらけだから、引き受けてくれそうな私に頼んだとのこと。
私も無下に断る理由もないため、快く承諾しました。

二人で食事に行って、二人で数時間も他愛もないことで談笑し、帰りにゲームセンターに寄って遊んで帰る。

この流れは「恋人たちのデート」の一風景ですよね?
これはBの相談に乗った日の私たちの行動です。

もちろん、飲み会の話はしました。
食事に行った最初の30分で。

異性に慣れていない、大学でも地味めだった私の中では
「これは脈ありか? それとも大学生の当たり前の友人的な交流か?」
と大変当惑していました。

しかしその日以後、Bは塾ではそっけない素振りを見せるので
(あぁ、やっぱり脈なしか……)
と落胆して、その日の業務を終えてバイクに乗って帰ろうとエンジンを掛けたときでした。

「Aさん! この間はありがとうございました! また一緒に行きましょうね!」

と、元気のいいBの声が後ろから聞こえてきました。
振り返ると、満面の笑みをたたえたBが立っていました。
私は、いいよいいよと返すと、急いでバイクを発進させて逃げるように帰りました。

本当に脈なしなのか、ただの社交辞令なのか。
本当は脈ありだったらどうしよう。傷つけてないか。

私はその悩む自分に嫌気が差して、バイクをUターンさせて、元きた道へとバイクを走らせました。
そして、Bを発見しバイクをBに寄せました。
驚いて私を見るB。
心臓の鼓動収まらない私。
すると、Bがニコッとして私に声を掛けてくれました。

「Aさん、どうしたんですか?」
「Bさん、あの、無理して社交辞令とかしなくてもいいから!」
「そんな、社交辞令じゃなくて本当に事ですよ! この前はとても楽しかったです! 本当にまた連れて行ってくださいよ! お花見もしたいです! あの、Aさん、わざわざ帰ってきてくれたんですか? 嬉しいです。」
「ほら! その社交辞令だよ! ダメなんだ……異性からそんなことされたこと無いから、本当に、その気がないならやめてくれないかな……」
「……Aさんとなら、いいですよ? 本当に一本気な方ですし」
「え?」
「Aさん、僕と、お付き合いをしてくれませんか?」

こうして、男女が逆転したような不思議な私たちのお付き合いがスタートしました。
バイクの後ろに彼氏を乗せてデートするのは、私たちのお決まりのスタイルです。